2019.10.5 昭和歌謡でひも解く⁉ 日本の洋楽受容(ディスコ編)

2019.10.5 昭和歌謡でひも解く⁉ 日本の洋楽受容(ディスコ編)

歌謡曲は洋楽と縁遠いようで、実はたくさん流行の洋楽を取り入れて進化していった面があります。そこで今回は主に昭和アイドルの楽曲を入口に、そのルーツとなった洋楽を開拓してみようというコンセプトでプレイリストを作りました。

さらに企画では流せなかった曲も加えてロング・ヴァージョンも作りました。

 

1. The Love Unlimited Orchestra – Love’s Theme
1973 邦題:愛のテーマ  全米1位 全英10位
アメリカのプロデューサー・作曲家Barry Whiteによる初期ディスコの名曲。インスト曲ですがビルボードで見事1位を獲得しました。ディスコというと「フィ~バ~↑↑」なイメージがありますが、そんな曲ばかりではないようです。今回のプレイリストでは歌謡曲とディスコの関係の深さを紐解きたいと思います。

2. 桜田淳子 – リップスティック
1978 作詞:松本隆 作曲編曲:筒美京平 オリコン10位
さて、歌謡曲にディスコ・サウンドを浸透させた最大の功労者はおそらく筒美京平でしょう。筒美京平は洋楽を貪欲に学び、70~80年代の日本の大衆音楽のレベルを高めた職業作曲家。筒美京平の手掛けた昭和のヒット曲とそのルーツとなった洋楽を比較してみようと思います。
3. Baccara – Yes Sir, I Can Boogie
1977 邦題:誘惑のブギー  全英1位
“リップスティック”の元ネタはヨーロッパ各国で大ヒットしたユーロ・ディスコでした。バカラは西ドイツのピンクレディーと呼ばれたスペイン出身の女性デュオ。何だかよく分からないプロフィールですが、この曲を聴くと昭和特有の水商売臭さは世界共通だったのかもしれないと思います。

4. 石野真子 – 日曜日はストレンジャー
1979 作詞:阿久悠 作曲編曲:筒美京平 オリコン19位
たれ目八重歯アイドルとして人気に。長渕剛と結婚して芸能界を引退していた時期がありました。
5. Four Tops – It’s The Same Old Song
1965 全米5位
“日曜日はストレンジャー”のイントロや間奏に登場する印象的なフレーズは、この曲ないしはMighty Clouds Of Joyの”Time”(1974)が元ネタと言われています。

6. ピンクレディー – 事件が起きたらベルが鳴る
1979 作詞:阿久悠 作曲編曲:都倉俊一
“ジパング”のB面曲。ピンクレディーの楽曲に漂うキワモノ感は、後で紹介する怪奇ディスコが日本でウケたのに通じるものがある気がします。
7. Chic – Le Freak 1978 邦題:おしゃれフリーク 全米1位 全英7位
“事件が起きたらベルが鳴る”のカッコいいバックトラックはシックを参考にしたかと言われています。

8. Hot Blood – Soul Dracula
1976
そもそも日本はディスコ人気が高く、中には怪奇ディスコと呼ばれるキワモノ・ジャンルも生まれました。怪奇ディスコの元祖・フランス発の“Soul Dracula”はオリコン7位の大ヒット。これに便乗して鼻から日本のマーケットを狙った“ソウル・フランケンシュタイン”、“セクシー・ドラキュラ”(これは流せない)などがリリースされ、日本国内でも“ソウルこれっきりですか”(オリコン2位)“ソウル怪人二十面相”など愉快で味わい深い珍曲が作られています。なお、“Soul Dracula”には「HAHAHA お~頭痛い」という空耳があります。

9. 岩崎宏美 – シンデレラ・ハネムーン
1978 作詞:阿久悠 作曲編曲:筒美京平 オリコン13位
筒美京平のディスコ歌謡は岩崎宏美と共に進化していったと言って過言ではありません。そのくらい数多くのディスコ路線の楽曲を彼女に提供しています。この曲はそんなに好きじゃないのですが有名なので!
10. Donna Summer – Once Upon a Time
1977
コロッケでお馴染みのシンデレラ・ハネムーンにも実はディスコの女王ドナ・サマーから強い影響を受けていたのでした。Village Peopleの“San Francisco (You’ve Got Me)”も参考にされていると言われています。

11. Dr. Dragon & Oriental Express – The Hustle Jet
1976
岩崎宏美のリリース元でもあるビクターでは、サトシ“ハッスル”ホンダこと洋楽宣伝部の本多慧の主導で日本の一流ミュージシャンによる和モノ・ディスコが数多く制作されました。これもそのひとつでDr. Dragonの正体はなんと筒美京平なのでした。「ハッスル」と言えばヴァン・マッコイの“The Hustle”(1975)が日本でもヒットしました。そもそもハッスルとはダンスの種類だそうで、柔道の小川直也とは関係ありません。
なお、同じくDr. Dragonが手掛けた“Sexy Bus Stop”(1976)は洋楽として売り出されオリコン25位のヒット。同年これに日本語歌詞を付けた浅野ゆう子のカヴァーもオリコン12位のヒットとなりました。和モノ・ディスコにはYMOに通じる遊び心とプロフェッショナルさを感じます。

12. MFSB – TSOP (The Sound of Philadelphia)
1974 邦題:ソウル・トレインのテーマ  全米1位
さて、こうしたディスコ歌謡の音楽的ルーツとして取り分け重要なのがフィラデルフィア・ソウルです。ディスコ歌謡じゃなくても、こうしたキャッチーで派手なストリングスやブラスの入ったアレンジは1970年代の昭和アイドルの楽曲に多いですね。

【参考】「作家で聴く音楽」第二回 筒美京平
ダンスミュージックと日本の歌謡曲の関係は深いんですよ。例えばソウル・ミュージックの中でもオージェイズなんかのフィリー(フィラデルフィア)・ソウルが好きでしたが、ソウルといってもポップな音楽だし日本の歌謡曲に近いと思いますよ。

13. 岩崎宏美 – センチメンタル
1975 作詞:阿久悠 作曲編曲:筒美京平 オリコン1位
そんなフィリー・ソウルの影響が顕著なのがこの曲。ディスコ歌謡を代表する名曲です!

14. Tavares – Heaven Must Be Missing an Angel
1976 邦題:ディスコ天国 全米15位 全英4位
邦題のダサさに驚きます。
15. 岩崎宏美 – 処女航海
1980 作詞:阿久悠 作曲編曲:筒美京平
ロサンゼルスでレコーディング。編曲が“ディスコ天国“そっくりですが、メロディの良さ、サビへの盛り上げ方はお見事。岩崎宏美のヴォーカルはこの頃がピークではないかと思えるくらい伸びがあって、艶やかです。

16. 岩崎宏美 – Wishes (reprise)
1980 作詞:橋本淳 作曲編曲:筒美京平
“処女航海”と同じくロサンゼルスでレコーディングされた曲(共に9thアルバム『WISH』収録)。
最後はディスコとか関係なく、しっとり終わろうと思います。ピアノは筒美京平自身が演奏。とても短い曲ですが、歌謡曲にもこんなに美しい曲があるんだなと思える名曲です。

最後までお聴き頂きありがとうこざいました。

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